子どもの足
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子どもの足と足病
骨が成熟していない未完成な子どもの足
生まれたばかりの子どもの足は約70%が軟骨成分。13~14歳くらいまでかけて骨格は形成されていきます。
7歳ごろまでは軟骨部分の方が多いので足部の細やかな骨と関節は、やわらかくゆるゆるの状態!
骨がないため動きやすく、外的な刺激を受けやすい状態で、合わない靴や過剰な衝撃により変形しやすいと言われています。
体の土台となる足は、成長の過程で作られるため、適切なケアで育てていくことが大切です。
point!
その症状、実は足病サインかも...??
足は生まれた時からずっとおなじで、少しづつ成長を重ねます。まだ様々な経験が少ない子どもの場合は「痛い」「辛い」などという言葉はなかなか出てこないことが多く、本人しか分からなければ我慢してしまうのです。
◉周りの大人が子どもの出すサインに気づいてあげることが大切です。
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幼児期に起きやすい足のトラブル
回内足
内側縦アーチが減少(又は消失)している状態
↓
足部の筋力不足により脚をまっすぐな状態に保てない
足・足首の痛みや
将来的な膝の痛みや腰痛の原因となります。※よく転ぶ、歩きたがらない
扁平足
内側縦アーチが減少(又は消失)している状態
↓
足部の衝撃を受け止めるクッション機能が減少
足が疲れやすい
※よくしゃがむ、歩きたがらない
思春期に起きやすい足のトラブル
シーバー病(踵骨骨端症)
疲労骨折
捻挫
coming soon
10歳前後の男児に多い
外力が繰り返し加わることで生じる骨折
ハイアーチ(甲高)の足で発生しやすい
症状
1. 明らかな外傷はないが運動時や運動後の疼痛がある。
2. 安静時は軽快する。
3. 放置することで安静時にも痛みが出るようになる
症状
1. かかとの軽い腫れ
2. 圧痛(押すと痛いこと)
3. 歩行時痛
症状
1. 足首の腫脹
2. 痛み
3.内出血
運動の後に症状が出ることが多く、かかとの痛みのため、つま先歩きになることもあります。発育期の子どもの弱い踵骨骨端部(かかとの骨の端でアキレス腱が付着しているところ)に運動などで負荷がかかり、そこにアキレス腱の引っぱる力が持続的に加わることで、踵骨に血流障害が起こり、踵骨骨端核(かかとの骨の骨端軟骨より先の部分)の壊死(えし)、または骨軟骨炎を発症するのがこの病気です。
こどもの骨は柔らかく、慢性的な負荷がかかっていると疲労骨折を起こすことがあります。大人のように骨が硬くないので、レントゲンで骨折が分からないことが多く、MRIを撮影すると骨が炎症をおこして疲労骨折の状態になっていることが確認できます。
足首の靱帯が過度に進展することで損傷を受けた状態。子供の時の捻挫は正しく治療しないと靱帯が伸びたまま成長し、関節の痛みや不安定性が残ってしまいます。捻挫をした場合は病院に行き、テーピングなどで必要な処置を受けるようにして下さい
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足育(あしいく)
子どもに足、靴、靴下、爪の知識や役割などを正しく伝えることを「足育(あしいく)」といいます。足育を正しく実施していくことで体を支える大切な土台となる足を健やかに、より理想的な形で守り・育てていくことが可能となります。
なかでも大切な役割をもつ土ふまず(横アーチ)は3歳ごろから現れ始め、基礎が6歳頃までに出来上がるため、足育にも重要な時期と言われています。
Q. 足育(あしいく)とは・・・?
▶足の裏にある3つのアーチとその働き
Q. アーチとは?
A.骨が弓形に並んで形作られたものです。
足裏には3つありバランスをとりながら体全体を支えるバネのような役割をしています
横アーチ
外側縦アーチ
内側縦アーチ(土踏まず)
Q. アーチの主な働きって何?
1. 全身の体重を支える
2. 衝撃を吸収する
3. 歩行を推進する
アーチは幼少期に足を使うことで発達しますが、近年では子どもの運動不足からアーチの発達不足が増え、結果として足のトラブルも増加している傾向にあります
子どもの足と成長段階
乳幼児期 0-2歳
◆生理的O脚とハイハイの時期
幼児期 2-6歳
◆筋骨格の急成長とアーチの発達開始
学童期 6-12歳
◆骨格形成は安定 アーチの発達が進む
思春期 12-18歳
◆骨格形成は完成 運動負荷によるスポーツ障害の増加
骨格、筋肉共に未発達で足全体が厚い脂肪層につつまれています。
土踏まずのない「扁平足」に見えますが、そもそもの判断基準となる足の骨格アーチがまだ形成されていない時期となります。
また、この時期はO脚であることが一般的ですが、成長と共に自然に改善します。
※1歳~2歳ごろまでの赤ちゃんの脚は生理的O脚と言われます。
この時期ははハイハイにより歩く土台をつくります
ハイハイしやすい環境を整えてあげましょう
まだまだ軟骨がほとんどですが、足の骨や筋肉の成長が急速にすすみ、この時期にO脚は自然に改善します。筋・骨格の発達に伴い足の裏の縦アーチ(土ふまず)の形成も始まり、すこしづつ足裏にくぼみが現れます。
※歩いたり走ったりするときに足指が動くことで足裏の足底筋が伸縮してそこから連結する筋肉が鍛えられていき、土踏まずができていきます。
この時期の靴の選択が将来の骨のゆがみや関節異常の原因になることが多くあります。
足の成長をサポートする適切な靴の選択を行うようにしましょう
歩き方も大人と同様となり、骨格も成人に近づきます。
足骨格の横方向のアーチ(横アーチ)の発達がこの時期に始まります。
横アーチが未発達だと将来的に外反母趾や内反小趾になるリスクが高くなります。
運動療法や適切な靴の選択などで予防・治療することができます。
※この時期までが足の矯正による根本的な治療が可能な時期になります。ここから先は軟骨がきちんとした骨にかわっていき、少しずつ矯正が難しくなります。
通常、思春期の間に足の骨の成長が完了します。
成長プレート(骨端線)が閉じ、骨の長さが最終的な状態に達します。
女性は通常、12~14歳頃に足の成長が終わることが多いのに対し、男性は14~16歳頃に足の成長が終わることが多いです。
※この時期に大きなけがや変形をおこしてしまうとそのまま固まってしまい大人になってもその状態で足病を治療していく事になります。
怪我の予防と、受傷時の適切なケアが大切となります。
成長段階に合わせたフットウエア(靴)の選択や足の観察・ケアが必要。
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靴の選び方と履き方
靴選びの大切さ
子どもの足はすぐ大きくなるからと、ついつい大きめの靴を選んだり、価格やデザインを優先していませんか?
間違った靴行動(靴を選んで使用すること)は、足部のトラブルにつながる可能性があります。
Q. サイズが合わない靴を履いているとどうなるの?
◉つま先に余裕がなくなるので靴の中で指が曲がったり、丸まったり足趾変形の原因になる
◉正常な骨の成長を阻害する原因となる
◉指が変形した状態なので正しい歩行や重力移動ができない
・余計な隙間があり靴の中で足が動いてしまう
・足部骨格(アーチ)が保持されないため疲れやすかったり、足を痛めやすかったりする
・足の指に力を入れずらいので踵の方で受診をとろうとして重心位置がずれ、姿勢が悪くなる
子どもの靴が足にあったサイズか、定期的に確認しましょう
靴のサイズの確認方法
中敷きを出して、足をのせてみる
踵を中敷きの後ろに合わせて子どもを立たせましょう
つま先のゆとりの確認
◉靴のサイズが14.5cm以下の場合は5㎜~8㎜の余裕があればOK
◉靴のサイズが15cm以上の場合は1cmの余裕があればOK
あし幅の確認
はばがぴったりであればOK
◉中敷きが見える→広すぎ
◉足がはみ出る →狭すぎ
靴屋さんや足の計測器を使用してサイズを図る
足のサイズには足長、足幅、足囲の3つがあります。
靴屋さんでも計測できますが、最近では簡単に計測できるツールよくみられますのでしようしてみるのもよいでしょう。※計測時は目線をまっすぐに姿勢よくたった姿勢で計測することが大切です。
また、当院では足のサイズを計測器ではかり保護者の方にお伝えしておりますのでお気軽にご来院くださいませ。
足長
踵から一番長い指先までの長さ
足幅
親指と小指の下のでっぱりの間の長さ
足囲
足幅をぐるっと囲ったサイズ
上記3つのサイズを参考に、それぞれのメーカーが出している靴のサイズ表と見比べてみましょう◎
靴の選び方
サイズは分かったけど、サイズさえ合っていればよいのか、というと、そうでもないのです!
たくさんの種類がある中で、どういう基準で靴を選べばよいのかをお伝えします。
1.
靴の選び方 4つのポイント
4Points!
踵の骨を支えるカウンター部分がしっかりしたもの
2.
「シャンク」と呼ばれる芯材が使用され、後足部(靴のかかと側)が柔らかすぎない靴
踵の骨は歩行時の衝撃を1番最初に受ける部分です。
ここをしっかり支えるカウンター機能がある靴を選ぶことで骨全体を支え、荷重時(体重がかかったとき)に足の骨格がぶれずに蹴りだすことが可能となります。
※安価な靴はカウンターがないことも多いので、しっかり選ぶようにしましょう。
子どもの足は筋肉・骨格共に発達途中なので、靴全体で足を支えることが大切です。
硬いカウンターでぐらつきやすい踵や足首を支えつつ、靴全体でもしっかりとした硬さがあることが大切です。シャンクと言われる芯材が入った靴は、後足部が安定し手で靴をねじっても捻じれないような硬さがあります。
※安価な靴にはシャンクが入っておらず全体的に柔らかくなっていることが多いです。
3.
蹴りだしをする前足部(靴の前側)はやわらかくなっているもの
硬い靴を進めていますが靴の前側(前足部)はやわらかいことが重要です。
これは蹴りだしをした際に衝撃の分散がうまく行えるように必要です。
※2)で上げたシャンクが入っている靴は後足部は硬く、前足部は曲がるようになっています。
4.
足部と靴を固定し安定させるベルトや紐がついているもの
よりよい歩行の促しと足部環境の安定のためには正しいサイズの靴を履き、足と靴が一体化するように固定できるような靴が理想的です。
※固定がない靴よりもベルトが多い靴を推奨しています。
靴の履き方
座った姿勢で、靴を履きやすい体制を作りましょう
1.
ベルトを緩めて履き口を開きます
2.
3.
靴に足を入れたらかかとを「トントン」と地面に2-3回合わせます
※小さなお子さんの場合は親御さんが手で踵をトントンしても問題ありません
靴のべろを引っ張ります(ねじれがないように)
4.
ベルトをぎゅっとしっかり留めます
5
当院の検査・治療
1.
歩行状況の確認
4Kモニターの切り出し解析により問題を抽出
子どもは指示動作が入りづらく、歩行動画がとりづらいということがありますが、高機能カメラの画像解析からお子様1人1人の歩行の特徴を切り出します
2.
(立って体重がかかった状態で実施する)荷重下レントゲン撮影
立位姿勢で足のアラインメント(骨配列)を評価
被ばく量がかなり少なく、小回りの効くポータブル撮影機を使用した足部・全身のレントゲン撮影を実施致します。
☑歩行動作のモーション・パターン解析
☑足病医と足専門理学療法士との相互チェック
☑改善のためのリハビリやフットウエアの提案
☑足のアラインメントが崩れていないか
☑足の長さの左右差や骨盤の傾きはないか
☑骨折や骨変形、癒合がないか
☑関節変形や関節症がないか
3.
装具療法
より理想的な関節位置での矯正と成長を促す
関節や骨が柔らかく、まだ成熟していない子どもの足はインソールを使用した矯正が可能です。
成長過程で足のアーチが形成される際により適切な形で骨格を維持していくことが可能となります。
4.
リハビリテーション
成長過程に即した、一人一人のテイラーメイド治療
アクティビティ要素も含めた内容でリハビリプランを作成します。当院のリハビリには神経学的トレーニングも含まれます。早期から運動学習を行うことで、成人以上に効果が期待されます。