外反母趾
外反母趾とは
足の親指(母趾)が小指側に「く」の字のように変形し、母趾の付け根の腫れや痛みのために、靴を履いて
の歩行に支障をきたす状態をいいます。
骨の変形以外に親ゆびの関節(第1中足骨関節)部分が赤く腫れ、痛みを伴う人もいます。また、外反母趾
の人の多くに親ゆび(第1趾)、第2趾の足の裏の部分に胼胝(たこ)が見られることも多くあります。
外反母趾は足部のレントゲン写真で診断します。
=
①正 常:20度未満
②軽 症:20~30度
③中等症:30~40度
④重 症:それ以上
※重症の場合には手術での治療が勧められます。第2趾が亜脱臼/脱臼する前に手術をしたほうが、治療成績がよいとされています
外反母趾の原因
OR
ハイヒール?
遺伝?
外反母趾はヒールの高い靴や細長い靴を履くことで発症すると思われがちですが、裸足の民族や男性でも外反母趾の人がいるように、靴が原因ではなく、遺伝や生まれつきの足の構造により、関節の異常がある状態で歩行をすることで負荷がかかることで起こることがほとんどです。さらに、外反母趾は進行性の病気のために、時間の経過と共に悪化をするため、進行を止める治療が必要です。
裸足の民族や男性でも外反母趾の人がいます
足の骨格異常とは・・・?
外反母趾の原因は足部の前側(前足部)の骨格異常が挙げられます
前足部回内
前足部回外
ぜんそくぶかいない
ぜんそくぶかいがい
足が内側に倒れこむ状態になる足
足の内側に負荷がかかり足の甲の痛みや外反母趾の原因となる。※靴のかかとの内側と親指の付け根同時に削れることが多い。
足が外に倒れこむ状態になる足
足の前(前足部)が外に倒れると足の後ろ(後足部)はうち倒れする。足が前後で捻じれている状態となり、非常に外反母趾のリスクが高い状態
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外反母趾は足部のレントゲン写真で診断します。
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エコー(超音波)検査による軟部組織の評価
◆立位姿勢で足のアライメント(骨配列)を評価
◆レントゲンでは調べることができない軟部組織を評価※軟部組織=皮下組織、靱帯、半月板など
☑足のアライメントが崩れていないか
☑足の長さの左右差や骨盤の傾きはないか
☑骨折や骨変形、癒合がないか
☑関節変形や関節症がないか
☑靱帯や半月板の損傷がないか
☑筋挫傷の有無
☑軟部腫瘍の有無や評価
☑関節炎や関節水腫の有無
☑関節や筋肉の動き・可動性の評価
足部のみで8枚撮影します。
足部に加えて骨盤、胸椎・腰椎も撮影
→全身の骨格バランスと併せて原因をより詳しく評価していきます
非侵襲(痛みを伴わない)かつ簡易的に実施が可能です
関節可動域評価(ROM評価)
◆足関節や足部の各関節における可動域を評価
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歩容解析(Gait Analysis)
◆歩行動作の詳細な解析により問題を抽出
☑足部の細かい関節に至るまで可動域を評価
☑可動域制限がある場合、その原因を特定する
(関節周囲組織の癒着の有無、制限の特定)
☑歩行動作のモーション・パターン解析
☑足病医と足専門理学療法士との相互チェック
☑改善のためのリハビリやフットウエアの提案
単に角度のみを計測するのではなく、歩行や足の変形が関節の動きにどのように影響しているか確認しながら実施いたします。
動作の中に現れる特徴から姿勢や生活への影響を抽出。原因を明らかにし改善案を提案致します
外反母趾が進行した場合
▶腫れ、発赤、疼痛
▶変形・脱臼
▶胼胝・鶏眼
バニオン=皮下滑液包炎
母趾の圧迫による2・3趾MTP関節の脱臼
横アーチの低下による胼胝の形成
親指の付け根の内側の突出部が靴に当たることで皮下の滑液包に炎症を生じ、「痛み」や「腫れ」、「疼痛」を伴います。
突出部には神経も通っているため、滑液包の炎症により母指につながる知覚神経が圧迫されることで母趾に痺れや痛みを生じることもあり、足部の形態異常となるため筋力バランスが崩れ歩きづらさや疲れやすさの自覚も生じます。
外反母趾を放置し進行すると、母趾に押された2趾・3趾は母趾の上にのるようになります。その結果付け根にある関節(第2・3MTP関節)が背側に脱臼してしまうことがあります。変形が進むことで履ける靴がほとんどなくなり、無理をして履くことで靴づれやが生じたり、痛みが増強し歩行が困難となる場合があります。
また、母趾は捻じれながらくの字に曲がるため、体重負荷が爪の側面に加わることにより、母趾の爪は次第に巻き爪となることがあります。
外反母趾の場合、変形した母趾では歩行時の蹴りだし動作が制限されるため、代償性に他の指(特に第2趾)が蹴りだす役割を担いますが、側部の横アーチが低下することで中足骨頭は足底に突出し(突き出し)ます。この突出の結果、蹴り返し動作の際に中足骨骨董に負担がかかり胼胝や鶏眼が発生します。
胼胝の発生を軽減するためには適切な除圧が必要です。
当院の治療
1.装具療法
医療用のインソールは過回内(足が内側に倒れすぎること)の動きを防ぎ、痛みの軽減に役立ち、外反母趾の悪化を防ぐことができます。また回外(足が外側に倒れすぎること)が原因の場合は回外を補正することで小趾側への荷重の集中を防ぎ外反母趾の悪化を防ぐことができます
2.テーピング療法
医療用インソールと同様の理由でテーピングによる足の姿勢(アラインメント)矯正にはテーピングが有効です。テーピングによる矯正で外反母趾の悪化を防ぐことが可能です。
しかし、テーピングは装着の技術やハリなおす必要があるため、長期的には装具療法が優れているとされています
coming soon
◆ニュートラルポジションという考え方
ニュートラルポジション=異常な力が加わらない足の姿勢がとれる自然な(足の)関節位置
距骨下関節の中立位がポイント
足首が90度の位置
歩行動画やレントゲン画像、ROM評価を基に患者それぞれのニュートラルを評価し固定するよう調整
3.リハビリ療法
外反母趾の症状は特定の筋肉が過度に利用されることで進行します。これらは足の姿勢と筋力不足によって発生している場合があり、リハビリテーション(ポダリハ)による姿勢改善と筋力トレーニングにより進行を抑制する事が期待できます。
手術療法(日帰り手術)
外反母趾がひどく靴が履けない、履きたい靴が履けない、見た目から治したいなどの状態にある方は手術による治療を検討します。骨切り術、関節固定術などがあり、100種類以上の手術方法があると言われており、足の状態によって手術方法を医師が選択します。
1.バイオメカニクス診断(初診診療)
2.歩行検査の実施
3.高精度な骨切り術
米国製ガイド付き医療機器を使用
正確な角度での骨切りを実現
4.再生医療併用
オプションで肝細胞由来セクレトームを投与
ダウンタイム軽減と回復期間の短縮を図ります
5.術後装具によるケア
(米国治療用サンダルを使用し術後の踏み返し防止)